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産経新聞 風雲録: 41年8カ月におよぶ苦闘の記者生活からあぶり出す波乱万丈の物語

によって 大野 敏明

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内容紹介 「産経新聞とは何であるか」 41年8カ月におよぶ苦闘の記者生活からあぶり出す 波乱万丈の物語 [主な目次] 第1章 新聞記者になる 第2章 地獄の1年生記者 第3章 逃げ出した新人記者 第4章 警察との熱き日々 第5章 孤立無援の取材 第6章 ひとり三役の奮闘 第7章 場当たり的な人事 最終章 社員を大切にしない体質 内容(「BOOK」データベースより) 「産経新聞とは何であるか」41年8カ月におよぶ苦闘の記者生活からあぶり出す波乱万丈の物語。 著者について 大野/敏明(オオノトシアキ) 昭和26年、東京都生まれ、50年、学習院大学卒、同年、産経新聞社入社、特集部長、大阪文化部長、千葉総局長、編集局編集長などを歴任、平成28年、編集委員を最後に定年退職。防衛研究所一般課程修了。元東京医科歯科大学、亜細亜 大学、国際医療福祉大学各非常勤講師、元拓殖大学客員教授。 主な著書に「知って合点 江戸ことば」「日本語と韓国語」「西郷隆盛の首を発見した男」(以上文春新書)、「歴史ドラマの大ウソ」「坂本龍馬は笑わなかった」「軍歌と日本人」(以上産経新聞出版)、「新選組」「切腹の日本史」(以上じっぴコンパクト新書)、「詳説 世界の漢字音」(慧文社)、「不都合な日本語」(展転社)など。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 大野/敏明 昭和26年、東京都生まれ、50年、学習院大学卒、同年、産経新聞社入社、特集部長、大阪文化部長、千葉総局長、編集局編集長などを歴任、平成28年、編集委員を最後に定年退職。防衛研究所一般課程修了。元東京医科歯科大学、亜細亜大学、国際医療福祉大学各非常勤講師、元拓殖大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る

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大野敏明氏の『産経新聞風雲録』(マガジンランド)を読んだ。この本、アマゾンで買ったのだが、アマゾンには『産経新聞 風雲録: 産経記者41年間の苦闘!』との書名が出てくる。でも、手にしてみると、カバーにも奥付にも「サブタイトル」(産経記者41年間の苦闘!)は明記されていない。ホワイ? 本書に出てくる「苦闘」は、理解なき上司との対立や自分の適性を正当に評価してくれずに希望部署に配属されなかった体験などを指している。 入社してすぐに埼玉、宮城、新潟の支局に配属。他社に比べて人員が少なく休む暇もなく仕事…。給与もかなり安い(これも苦闘の一つ)。 親が自衛隊で、日教組にいじめられた体験もあり、思想的には反左翼。だから、産経の社風には合っていると自負。他社(東京新聞)などからの誘いもあったけど、あっちより産経のほうがまとも…と考え乗らず。 大学(ゼミ)も学習院大学法学部の香山健一ゼミ。 「グループ1984」のリーダーとして『日本の自殺』(PHP研究所)などを書いた人だ。文春新書からこの本が「復刊」される時、大野さんも回想記を寄せていた。ともあれ、大野氏は銀行なども訪問し、協和銀行の内定をもらっていたりしたものの、香山先生の推薦状をもらって産経新聞を受けて、英語がイマイチだったようだけど、なんとか合格。そして入社して産経一筋で生きていく。支局時代のスクープの内幕やらいろいろと面白いものがある。フジテレビに出向したり、上司との対立やら希望部署に行けないことの葛藤やら。産経新聞残酷物語といわれるような「給与」問題やら、「サラリーマン」なら、どんな業種でも体験するような「苦闘」「葛藤」が出てくる。 産経のファンで、それで子供を入れたいと思っている人に、給与額や退職金の金額などを教えて止めたほうがいいと諭すこともあったそうな。 産経新聞に対しては、愛憎半ばというか、哀惜もまじえつつの自叙伝。おおむね、ふむふむなるほどなぁとおもいつつ一読した。ただ、最近の産経の論調が親米すぎるとかということで、その例として、イラク戦争で、産経が賛成したのはおかしいと批判していたが、これはちょっと…。 結果としてであれ、フセイン独裁体制を打破した意義はあるのではないかと。あそこで叩かないままでいたら、イラクはいまの北朝鮮みたいな核兵器を持つ「ならずもの国家」に「成長」していた可能性もあるから。同じことは中国にもいえる…。天安門事件のあと、徹底的に干せば…。 産経も、鹿内春雄さんの時代、フジテレビの新入社員の給与が産経ベテラン記者の給与より高いのはおかしいということで、産経記者「所得(給与)倍増計画」が実践された時もあったとか。 本ではイニシャルで出てくるが、論説委員長の給与より、その人の娘さん(別マスコミ勤務)の給与のほうが高かったことも(三雲四郎論説委員長&三雲孝江さんのことだろう)。 書評がらみで、石井英夫さんらしき方も、ちょっと「悪役」として出てくる? 僕は高校時代から産経新聞を購読している。購読期間は46年ぐらいになるか。せいぜい、その間の購読料金は百数十万円ちょっとか。「正論」も買ったりしていたけど…。サンケイ出版の本も……。あわせても200万?でも、フランス書院に支払った金額のほうが、産経に払ったより多いかも…。ううむ…。フランス書院文庫が潰れても、二見文庫もあるし……。でも、産経に代わる新聞は…。読売? 巨人のファンではないからなぁ。 似た感じの本として、元朝日記者の稲垣武(故人)さんの『朝日新聞血風録』(文春文庫)がある。こちらは朝日新聞内部の左翼イデオロギーに毒された社内事情をあぶり出したもの。稲垣さんも、整理部や主任研究員や週刊誌編集部など、朝日社内でそれほど日の当たる部分を行き来したわけではないけど(その分、在社中は「ボイス」などで活躍したからまずまずだったかと。退社後は「諸君!」などで活躍。このあたりは万事塞翁が馬)…。 元朝日記者・永栄潔さんの『ブンヤ暮らし三十六年 回想の朝日新聞』 (草思社・新潮文庫)も併読するといいかも。大野さんのこの本も『ブンヤ暮らし四十一年回想の産経新聞』といえよう。 元読売記者の回想録としては、滝鼻卓雄氏の『記者と権力』 (早川書房)がある。 著者は元読売新聞東京本社社長。新人記者時代に、寸又峡温泉の金嬉老事件の「直撃取材」をした体験から始まる。学生紛争時代、夜討ち朝駆けで、「朝日ジャーナル」記者に負けたり? そんな体験やら、昨今の個人情報保持にやかましい状況やら、いろいろと論じた新聞記者論。この人は出世したほうだ。 産経関連書として…。菅本進氏の『前田・水野・鹿内とサンケイ』 (東洋書院)がある。著者は一九二二年生まれ。国策パルプの社員であったために、昭和三三年、水野成夫社長が産経新聞の危機的状況を、前田久吉会長から引き継ぎ新社長として赴任するにあたって経理畑を担当するために転社(産経入社)。 爾来、昭和六二年に退社するまで産経新聞内にあたって要職を歴任。さまざまな産経の経営危機に直面し、水野社長以降、稲葉秀三社長、鹿内信隆社長などを補佐していく。赤字体質なのに国鉄スワローズを引き受け、サンケイアトムズやらを運営(今日のヤクルトスワローズ)したりする。サンケイアトムズはまだ記憶にあるが、サンケイバレイ(スキー場)なるものが関西にあったとは知らなかった。 僕が産経新聞を読みだしたのは、高校時代(昭和五〇年前後)から。当時(昭和五一年)にも経営危機に見舞われていたというが、そうした記憶はない。 大学生になってから、その頃の産経残酷物語を揶揄する記事や、鹿内信隆氏の『泥まみれの挑戦』 (産経新聞社)などを読んだりして、ふうむ……と思ったものだったが。 内部から見た、そうした社長たちの行動、発言などを側近の一員として体験した者でないと書けない諸事実が淡々と綴られている。貴重な産経裏面史と言えようか。 境政郎氏の『水野成夫の時代社会運動の闘士がフジサンケイグループを創るまで』 (日本工業新聞社)も、面白い評伝。 水野成夫は、戦前は共産主義者として活動。日共の幹部でもあった。アナトール・フランスの『神々は渇く』などフランス文学の訳者としても知られていた。しかし、転向。戦後は産経新聞社長にもなり、前後してフジテレビ、文化放送の社長も務め、戦後の「容共リベラル」的な言論界にあって、独自の立場を築き、その路線は鹿内信隆氏などに引き継がれ、今日の産経「正論」路線にもつながっている。その意味で、戦後の反共リベラル的な言論界の始祖ともいうべき人かもしれない。日本のアーサー・ケストラー(『真昼の暗黒』著者)か? ちょっと違うか?ほかにも何冊か産経出身者の回想録はあるけど、大野さんの本は、なかなか迫力のある、愛社精神故の苦言もある産経新聞回想録といえよう。

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